Hさんとの出会いは、私28歳の時の転職先でした。
Hさんと私は、上司と部下。
Hさんは誰にでも優しく上司というよりも、皆の良い兄貴分といった方でした。
いつも楽しく笑わせてくれる彼に、私は微かな恋心を抱いていました。
しかし、Hさんには奥さんも、お子さんも居るのを知っていたので、叶わぬ恋心として片付けていました。
ところが、私の恋心は思わぬ形で叶うことになったのです。
30歳・女性・事務員
上司との愛人契約
気づけば入社から2年が過ぎていました。
ある日、仕事の一環として、Hさんと二人で社外に出る機会があったのです。
目的地は片道車で2時間にも及ぶ長距離でした。
車の中で二人きり、私はドキドキしていました。
長いドライブ中、私たちは色んな話をしました。
仕事のこと、プライベートなこと、ご家族のこと。
そして、いま好きな人のこと・・・。
Hさんが「Aちゃん(私)はどういう人がタイプなの?」そのように聞いてきたので、つい私は「Hさんみたいな人、タイプですよ。一緒にいて楽しいし、結婚してなかったら狙っていましたよ(笑)」と冗談めかして言ってしまったのです。
しまった…!!と思った時にはすでに遅く、Hさんを見ると、真剣な顔で私を見ていました。
「冗談ですよ~」と言い直そうとした時に、Hさんの方から、「結婚しているけど・・・ダメ?」と言って来たのです。
そんなこという方だと思っていなかったので、ビックリしました。
「ふつうに駄目だろ」と心では分かっていたのに、私は「良いですよ」と答えていました。
するとまるでお互いに、この関係を始める契約のように、キスをしていました。
いま思えば・・・そう契約だったのだと思います。
職場不倫のルール
私とHさんの関係は、仕事終わりの数時間だけ会える。そんな関係でした。
職場内では、今まで通りに振る舞うHさんの態度に最初のうちは戸惑いました、あれは勘違いだったのか?と思う程でした。
けれども、日に日にそんな違和感にも慣れていき、「これが私たちの関係だ」と割り切るようになっていったのです。
数ヶ月が経っても、私たちの職場の関係は、「兄貴分の上司と部下」そんな関係でした。
しかし、「誰にでもいい顔をする」職場の女の子達みんなに気を持たすような、Hさんの態度にイライラしていたのです。
もしかしたら、あの中に私と同じようなポジションの子が居るかもしれない・・・。
彼は女の子ならば誰でもいいのでは?
私のなかの嫌な感情が止まらなくなったのです。
気が付くと、その日の夜、彼に「奥さんや会社に私たちの関係をばらす。て言ったらどうする?」そのように言ってしまったのです。
別に本当に言う気はありませんでした。
ただ、少しワガママを言いたかったのです。
けれども彼は少し怒ったような声で「それはルール違反だよな」と言ったのです。
予想外の返答に私は固まってしまいました。
不倫は終わりのないゲーム
ルール違反?
なにそれ・・・?
ルールとか作った覚えはないけど・・・。
私の中でグルグルそんな考えが巡っていたのを覚えています。
彼のなかでは、私との関係はゲームだったのです。
ゲームにはルールが必要。
ルールを破った場合には即失格。
次のプレイヤーを探すだけ。
プレイヤーは別に私じゃなくても良かった・・。
そう分かった途端、自分のことを滑稽に感じました。
もちろん、二人の関係をばらす気が無いことを伝え、「やっぱり辛いから、辞めよう」
そのように私から伝えました。
その後、仕事は退職しました。
たしかに、「奥さんと別れて欲しい」とは思っていなかった。
ゴールは無かったのでしょう。
でも、あんな形で終わりたくはありませんでした。
不倫にゴールは無い、辛いだけ。
そのように私は心に刻んだ出来事でした。
今はちゃんと、転職し真っ当に働いています。