「俺がそんなに悪かったのか?」
知らず知らずのうちに自分が妻を苦しめていた。
納得がいかないこともあったが、妻から提案された離婚を承諾。
妻と娘二人を同時に失ったあとに知った事実は、妻とパート先店主との浮気だった。
(注)この記事は当サイトにお寄せいただいた体験談を一部編集してご紹介しています。
惚れられていると思っていた妻から離婚を突きつけられる
50代前半でバツ2になってしまったオッサンです。
妻との出会いは、最初の結婚に失敗してやる気をなくしていた時に、地元の友人から紹介されたのがきっかけだった。
居酒屋で最初に飲んだ時から、すぐに意気投合して、その後、俺の自宅で宅飲み。
その翌日には、妻が荷物を持って転がり込んできて一緒に暮らし始めた。
今になって思い返せば、なるほど妻は思い立ったら直情的に行動するタイプの女だった。
でも、付き合っている時も結婚してからも、全くそんな素振りがなくて、常に俺のあとにくっついて来るような、いわゆる貞淑な妻だと思い込んでいた。
これは離婚したあとになってだんだん気づいてきたことなのだが、二人の娘の手間がかからなくなったので妻が飲食店のパートに出るようになってから少しずつ何かが変わり始めていた。
しかし俺は妻に惚れられていると信じていたので、俺が浮気をすることがあっても、妻の浮気は夢にも思わなかったのが正直なところだった。
妻からの三行半
「ずっと抑圧されて我慢してきたけど、私を自由にして欲しい」
「あなたと一緒の生活は息が詰まる」
「残りの人生は私の自由なように暮らしたい」
ある日、妻がこんなことを言い出して離婚したいことを切り出してきた。
ショックだった。
こんなふうに思われていたことを全く気づかずにいた。
俺はどんだけバカなのかと、心底後悔した。
反省した俺は、妻の心を再び繋ぎ止めるために必死に頑張った。
職場にも事情を相談して、それからは早く帰宅するように。
食事の後片付け・娘の塾の送り迎え・掃除・妻が観るドラマの編集(CMカット)など。
俺の2ヶ月におよぶ孤軍奮闘もむなしく、妻は「しばらく距離をおきましょう」と言い残し、娘二人を連れ、勝手にアパートを借りてしまった。
もう家に早く帰る必要もなくなった。
誰もいないガランとした家だけが俺に残った。
離婚後に知った妻の浮気
いちど動き始めた歯車は止めることができなかった。
離婚した後に知ることになるのだが、じつは離婚の歯車を影でまわしていた奴(男)がいたのだ。
別居してから離婚するまでは早かった。
俺たち夫婦と家族ぐるみで付き合いのあった友人夫婦に、俺がいかに傲慢でワンマンであったかを、妻がさんざんに吹き込んでいた。
友人夫婦は完全に妻の味方。
離婚は嫌だと抵抗する俺を、友人夫婦が説得する形になっていた。
第三者に指摘されると俺も自信がなくなってくる。
妻も子供も愛しているので、みんなが幸せになるのであればと、俺はしぶしぶ離婚に同意した。
ガッカリした。
誰もいない家に帰るのがいやだった。
自分からふったことはあっても、自分がふられたのは50年生きてきて初めての経験だった。
それでも、一ヶ月に一度は娘たちに会うことを決めていたので、その日のために頑張って生きていたのかもしれない。
そして、むかえた娘との面会日。
俺が娘二人と会う、その場に、なんとなく見覚えのある男を妻が同席させたのだった。
その男は妻の勤めるパート先の店主だった。
男は「じつは前からお付き合いしてましたよ」とシレッと言ってのけたのだ。
驚いたのとあっけにとられたので、俺はその場で男に何も言い返すことができず、やられっぱなしの状態だったと思う。
そんな俺の様子をみて、男は優越感に浸っていたのだろう。
このささやかな男の優越感が後であだとなったと思う。
男への復讐が始まった
妻に浮気をされ、裏切られていたことを知った俺は、すぐに友人から弁護士を紹介してもらって、友人も交えた3人で飲み屋で作戦会議。
弁護士は「今からでもできる限りの証拠を揃えることが大事だ」と何度も繰り返す。
浮気相手は、飲食店を経営しているので調べればすぐに連絡を付けることができた。
俺は店に電話をして「男同士で話をしたい」と持ちかけると浮気相手の男は「いいですよ」と乗ってきた。
翌日、二人っきりで昼のファミレスで会う約束をした。
俺は、ヨドバシカメラでボイスレコーダーを購入して、何度かテスト録音の練習を繰り返してから男との会談に臨む。
弁護士に言われた通り、より具体的に浮気の証言を得ることが目的だった。
俺もバカだったかもしれないが、浮気相手の男もバカだった。
女を奪われた男に、奪った男が自慢話をするという展開で、十分すぎる浮気の証言を得ることができた。
浮気の供述は簡単だった
妻が感じていた俺に対する不満や、浮気の経緯を聞かされて、俺は自尊心が傷つけられた。
しかし、証拠をとるために、耐え忍んで聞くことに徹していた。
浮気相手との会談を終えた俺は、その足で弁護士の事務所へ。
弁護士と二人で録音された会話の内容を聞いていると、何度も「うん、うん」とうなずき、最後に「はい、大丈夫でしょう」と証言に太鼓判を押してくれた。
録音のバックアップをとって、証言内容をメモに書き起こすからとボイスレコーダーを弁護士に渡すと、俺の仕事は終了だった。
弁護士は内容証明を送ってくれたのか、浮気相手は示談に応じて、俺は請求した慰謝料を受け取ることができた。
(いい仕事をしてくれた弁護士にはきっちり報酬を払う)
浮気相手は、事業が上手くいっているのか、慰謝料の減額を請求したりすることなく素直に応じたという。
金銭的な余裕もあるからだろうが、俺に対して弱みを見せたくないという、男の反骨心の表れではないかと思えていた。
言い方は悪いかもしれないが、奴にとっては「惚れた女の身請けをしてやる」くらいの気概であったのかもしれない。
騒動のあとに
騙されていたとはいえ、結果的に元妻とグルになって俺たち夫婦を離婚させた友人夫婦とは、その後一度も連絡をとっていない。
彼らが事実を知っていたのか、妻に騙されたことに気づいたのか確かめようがない。
上の娘は中学に入り、ちょうど多感な時期というのもあって、いまは俺のところで暮らしている。
おかげでちょっと窮屈に感じることもあるけど、生活にリズムがうまれ、なにより話し相手がいることは楽しい。
下の娘は月に一度会う関係だ。
振り返ると、結局この騒動はなんだったのか。
残ったものは家と娘と慰謝料だった。
しかし、調子に乗っていた浮気相手からきっちり証言がとれたことはラッキーだったと思えてくる。
奴が少し冷静になる時間があれば状況は変わっていたかもしれない。
弁護士と紹介してくれた友人にはひたすら感謝。