高くなってきた茜色の秋空をギューッと濃縮したように、
黒々と生長した茄子を、うらめしく眺めながら、
この半年間に身のまわりで起きたことを思い返していた。
私の生活は、なにもかもが変わってしまった。
しかも間違いなく最悪な方向への転換だ。
私はバカだった、今でもその時のことを弁明できる状況にはない。
(注)この記事は当サイトにお寄せいただいた体験談を一部編集してご紹介しています。
若い彼氏を自宅に引き込んだ私のあやまち
その時の私は結婚生活を甘くみていた、浮気は見つかりっこないと高をくくっていたのだ。
夫が2泊3日の出張の際、私は自宅に彼氏を呼んでいた。
彼氏はまだ大学生、私は27歳のパート主婦。
パート先で知り合って、いけないと思いつつも、年下のかわいい彼氏に夢中になってしまっていた。
ついつい年上だから、私の方がリードをしてしまう。
その日も夫がいないからと、私が彼氏を自宅に引き入れたのだ。
なぜ、リスクのある自宅に彼氏を呼んだのだろう?
あらためて考えなおすと、ホテルにないワクワク感が自宅にはあった。
- 家での私の姿を彼氏に見せたかった。
- 私の手料理を彼氏に振る舞いたかった。
- 彼氏と新婚生活みたいな気分に浸りたかった。
きっと、自分がどれだけ家庭的な女性であるかを彼氏にアピールしたかったのだろう。
その夜は、夫の存在など完全に忘れていた。
そして、彼氏とラブラブ気分になり、逢瀬をしていたときに、寝室のドアが突然開いたのだ。
突然おとずれた修羅場
スーツ姿の夫は言葉も出ずに、裸で抱き合う私たちを見下ろしていた。
私が「ごめんなさい!!」と叫んだと同時に、スイッチが入った夫が彼氏を突き飛ばしていた。
突き飛ばされ、立ち上がった彼氏は夫に反撃をすることもなく「スミマセン」と一言。
沈黙のなかで彼氏が急いで服を着ている時間が、永遠に続くのではないかと思えるほど、長くそして重く感じた。
彼氏が去ってしまうと、私には夫からの質問責めが待っていた。
不倫行為そのものを見られてしまったから、隠すことも言い逃れをすることもできない。
彼氏とどこで知り合ったか、どちらから誘ったのか、おまえは今後どうしたいのか、など次々と聞かれた。
観念した私は、夫の繰り出す質問をありのままに答え「このまま、あなたと暮らしたい」と伝えた。
すると夫はニヤッと笑って、
「おまえはまだ俺と暮らしたいのか?俺に気持ちがあるのか?」
と言うので、
「もちろんあります、ごめんなさいごめんなさい。」
と離婚ということは全く考えていなかったので、ひたすら謝った。
一生続く地獄を背負って
すると、調子づいた夫は条件をつけてきた。
その条件を飲むなら、このまま妻としていさせてくれると言ってきた。
夫は、「彼氏との行為があったこの家ではもう暮らしたくない」といい、実家に帰ると言い出した。
それは私が一番嫌がっていた、義父母と同居することを示していた。
それが嫌なら、私にも不倫相手の彼氏にも、世間で暮らせないようにしてやると脅していた。
彼氏はまだ大学生だから、このことがバレたらこの先、大変なことになる、彼氏の将来を考えた私は夫の条件を飲むことにしたのだ。
その結果、大学生の彼氏は夫から呼び出されはしたが、慰謝料の請求もなく、注意だけで終わった。
その代わりに私は夫の実家で暮らすことになり、嫌だった義父母との生活、そして農家でもあるので、農作業の手伝いもすることになった。
夫は「俺から離婚届に印を押すことはない」と言い、私を囲ってしまうようになった。
私には自由な時間がまったく失くなってしまった。
いつも夫と夫の両親の監視があり、とても息苦しい生活。
表面上はとても優しく接してくれる夫は、私を束縛して楽しんでいるようにもみえる。
いつでも逃げ出したくなる気分になるが、私の両親はもうこの世にはなくて、帰る場所などない。
気が付くと、つるべ落としの闇が指の先まで迫っていた。
ああ!またあの家に戻らなくてはいけない・・・。
今では、心の底から笑って生活していた夫との生活が懐かしい。
このまま田舎暮らしで一生が終わってしまうのだろうか。
なんで彼氏を自宅に呼んでしまったのか、不倫をしてしまったのか・・・。
後悔で重くなった足を引きずりながら、あの家へと今日も帰っていく。