私が不倫された経験は30代後半のことです。
海外に2年赴任する事になり、当時小学生の子供二人と妻を残し、単身で欧州に出向きました。
日本と欧州は頻繁に行き来する事はできません。
帰国したとしても3ヶ月に1度、なんとか理由をつくって日本に出張をする事で、家族とはコミュニケーションを保っていました。
しかし、1年も経つと少しずつ欧州での生活にも慣れて、友人も出来るようになり、3ヶ月に1度の帰国ペースも少しづつ間隔が開いていく様になっていきました。
妻は、子供達を育てる忙しい合間を縫って、ストレス発散のための音楽教室に通ってバイオリンを習い始めました。
それと同時にエアロビや、パートで受付事務なども始め、忙しさによって気を紛らわせる様になっていったようです。
(注)この記事は当サイトにお寄せいただいた体験談を一部編集してご紹介しています。
マンツーマンの個人レッスン
不倫の機会は音楽教室においてでした。
バイオリンのレッスンは妻よりも若い30代前半の男性の先生だったようです。
レッスンは当然マンツーマンで、約30分から1時間は一緒に二人きりの世界になります。
当然かもしれませんが、週に1、2回に一緒の時間を二人だけで過ごせば、親密になります。
まして、夫が長期で不在となれば、男性に対する好奇心が外に向かうことは自然な事かもしれません。
二人の気持ちが通じ合うのに、それほど時間がかからなかったかもしれません。
不倫といっても肉体的な不倫もありますが、心の不倫もあると思います。
妻の場合には心の寂しさを満たすための不倫なので、心の不倫が大きな要素を占めていたと思います。
肉体の不倫があったかどうかはこの場合あまり大きな要素ではないと後になって思えるようになりました。
妻の告白
実は、妻が不倫していたことは、私が帰国した後に妻からの告白でわかりました。
妻の性格上、あまり隠し事を好みません、話してしまう事によって気が楽になったようです。
私が帰国した直後に、妻は一時期軽い鬱状態になってしまいました。
私の帰国による環境の変化と、心情への影響によるストレスからだったと思います。
毎日仕事に行こうとしても、ベッドから起き上がれず、一緒にいてと頼まれて手をずっと握って心の不安を落ち着かせていました。
妻の心のはかなり乱れていたと思います。
こうした環境から1日でも早く回復を願って、妻とはなるべく一緒にいるようにしました。
帰ってきた妻
離れていた2年間の月日を思いながら、子供たちの毎日の世話に、家庭を守るために懸命に頑張っていた妻、心の支えがどうしても欲しい時にも頑張っていた妻、私は不倫をしていた事実をどうこうというよりも、それを夫に告白してまでも、私に痛みをわかってほしいという気持ちに心を打たれました。
次第に、妻の鬱が回復していき、1、2ヶ月で通常の生活に戻ることができました。
心の乱れも落ち着いてきて、私も安心すると共に、不倫については特に気にならなくなりました。
今でもバイオリンは習っていますが、その男性の先生は別の女性と結婚されて、既にお子さんもいらっしゃるようです。
それでも、妻にとっては心を慰めてくれた男性であり、良い意味で愛情を今でも持っているようです。
妻にとっての家族愛
妻は結婚前には、お嬢様の部類に入る遊びもたくさんしていたようですが、結婚してからは子供への愛情を注ぐ事に専念するようになりました。
妻は、幼い頃に両親の離婚を経験しています。
そのせいか本当の父親とのふれあいが少なく、その事で自分への子供への愛情となって表れているようです。
つまり、自分ができなかった父親不在の環境を子供たちに経験させたくないということです。
きっと、私が2年も不在にしていたという環境は妻にとっては耐え難いものだったのでしょう。
仕事だからしょうがないというものの、心の底では許し難い状況であり、その分自分が父親の役目も背負う覚悟で2年を全うしていたのだと思います。
その分のストレスは大きく、その解消にはバイオリンの先生も必要不可欠だったのかもしれません。
今では普通に家族一緒に色々ありながらも元の通りに生活しています。
昨今不倫が面白おかしく取り上げられる風潮が多いですが、もっと真剣に、そしてその原因やお互いの心に潜む原因を理解し、そして対処できるのが本当の夫婦なのかと考える次第です。