高校を卒業したものの就職を逃してしまい、フリーターとして近所のホームセンターにアルバイトとして働いていた時のことです。
何ヶ月かが過ぎて、職場の人間関係にも慣れてきたころ。
その日は最後までのシフトに入っていました。
他の人は大学生が多いので試験勉強で来られないということでした。
閉店までのシフトに入ることはめったにありません。
その日のレジを締めて、店頭の後片付けを終え、帰り支度をしていると、店長に呼び止められました。
(注)この記事は当サイトにお寄せいただいた体験談を一部編集してご紹介しています。
車のなかでガッツク店長
店長は「遅いから車で送っていこう」と言うのです。
私も普段は車で通勤するのですが、たまたま車検に当たり歩いて来ていたのでした。
最初私は「悪いので」と断りましたが、店長に「帰り道だから」と言われてつい、それならと送って貰うことにしました。
車の鍵を持たされ、先に車に乗って「待っているように」言われました。
数分で店長も車に乗り込み、帰れると思っていたら、そのまま暫く話しこんでしまいました。
なんだか雲行きが怪しいと思い始めた時に、店長は大胆な行動に出て来ました。
「私を好きだ」と言い、間近に迫って来ます。状況は解るのですが、何せまだそんな事とは無縁だったので、どうしようと慌てました。
そういうことに対する好奇心と、店長に多少の好意を持っていたこともあり、相手は妻子持ちだと知りながら一線を越えてしまいました。
「一度だけ」と言われたけれど、その後もたびたび店長と体の関係を持ちました。
終わりを感じる瞬間
成り行きで始まった不倫関係ですが、店長と一緒にいる時間が長くなれば情もわきます。
ずっと一緒にいたくても、その相手には妻子がいるのです。
二人っきりで会えるのは、もっぱら閉店後の事務所か彼の車の中。
日中にひと目を気にせず手をつなぐことも、小洒落たレストランでデートすることもできません。
しだいにそんな関係が息苦しく感じるようになってきたのです。
そんなある日、店に用事があったらしく店長の奥さんとお子さんが来店。
店長と話している様子、まだあどけない子供の姿を見て、私は無性に寂しくなってしまいました。
ある冬の日に、店長の店舗異動が決まったと告げられました。
私は「ちょうど潮時なんだ」と思い、不倫関係を清算することにしました。
一緒に住んでいるわけでもないので、別れると言っても特別なことは何もありません。
私は、携帯を変えてアドレスも削除しました。
彼を送り出す送別会が開かれ、私にときおり視線を送る彼の姿をみたときに、なぜか「終わった」ことを実感したのでした。