夜中のチャイムとドサッと置かれた札束

浮気・離婚の体験談

私は夫に、小学生の娘の同級生の母親と浮気されたことがあります。
そのころ夫はPTA役員で、同じく役員だったA子さんから言い寄られて、肉体関係を持ってしまったそうです。
どうして分かったかというと、ある日A子さんの夫(A旦那さん)が家まで来たからです。
その日は夫が飲み会で帰りが遅い日で、私は一人娘をお風呂に入れて寝かしつけているところでした。
突然ピンポーンと玄関チャイムが鳴ったので行ってみると、知らない男性がいました。聞けば「小学校の役員をしているA子の夫です。ご主人とA子の事で話があります」とのこと。
この時、心のどこかでやっぱり、と思いました。
実はママ友に、「A子さんと(私)夫さん、雰囲気がおかしいって噂だから気を付けた方がいいかも」と教えてもらっていたからです。
夫に限ってそんな事はない、と信じていましたが、年下で可愛らしい雰囲気のA子さんから迫られたら夫は拒めないかも、とも感じていました。
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パパ浮気してるの?

とりあえず玄関の中に入ってもらってA旦那さんの話を聞きました。
A旦那さんは、A子さんと夫が不倫していること、今も二人で過ごしている事、今までも何度か二人で飲みに行っていることを話してくれました。
どんどん興奮してくるA旦那さんとは逆に、私はぼうっとしていました。何を言っていいのか本当に分からなかったのです。
浮気の予感はあったものの、言われている内容がうまく飲み込めませんでした。
一通り話終えたA旦那さんは、すっきりしたのか、「後日、改めてA夫婦と私夫婦で話し合いましょう」と言い残して、帰っていきました。
嵐がサッと来てサッと去っていったみたいでした。
 
しばらくすると、ママ友の話、今聞いた話がグルグルして頭がいっぱいになりました。
子供は寝ているし、当時住んでいたアパートは2DKで、怒鳴りたいような走り出したいような、どうしようもない感情を抱えて、風呂場にこもりしゃがみこんで頭を抱えました。
後から後から涙が出てきて変な嗚咽も漏れました。
そうしたら寝ていたはずの子供が浴室のドアを開けて、「パパ浮気してるの?」と言いました。
A旦那の話が全部聞こえていたんだと思うと、そんな大声で喋ったA旦那さんに怒りが湧いてきて、「そんなわけないでしょう!」と、叫んでいました。
A旦那さんも子供も悪くはないのに、完全に八つ当たりでした。
それが分かっているのに冷静になれなくて「ごめんね、ごめんね」と長女を抱きしめました。
その後、長女を布団へ促し寝かしつけながら、私は興奮状態でした。
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夫の言い分

長女が寝たことを確認してリビングに座っていると「ただいま~」という呑気な夫の声が玄関から聞こえてきました。酔っているみたいでした。
もやもやした気持ちが爆発したようになって、リビングに入ってきた夫に「今まで誰と飲んでいたの?!」 と、詰め寄りました。
夫は私の剣幕に驚いているようでしたが、A旦那さんが来たことと、A子さんとの事を伝えると、最初は否定していましたが、「PTAの人たちも皆知ってる!」(本当は噂になっているだけ)と言うと、観念したのか、いきなり土下座して謝ってきました。
PTAの仕事を始めた頃、A子さんに家庭のことで相談があると誘われたこと、人目が気になるからと、ホテルで話を聞く事になったこと(なんでホテルなんだ)、A子さんに慰めてほしいと言われつい流されてしまったことを土下座しながら言っていました。
何か言い返さなければと思いましたが、私もいっぱいいっぱいで、その日は寝室にこもって泣きました。夫にはリビングで寝てもらいました。

それぞれの事情

次の週末に、子供を実家に預けて我が家に集まり、4人で話し合いをしました。
浮気の事実確認と今後についてです。
不倫については証拠がないにも関わらず、二人ともすぐに認めました。
ただ、肉体関係は一度きりだったそうです。本当かどうかは証明できませんが当時はそれを信じるしかありませんでした。
A夫婦は離婚するつもりはないという事でした。
A旦那さんは近々町議員に立候補するらしく、妻に浮気された事を公にしたくない、というのが一番大事みたいでした。
話し合いの結果、A旦那さんから私夫に慰謝料は求めない代わりに、私からA子さんにも慰謝料請求は行わない、という結論になりました。
この時点では、私に経済的問題があり、再構築を決めていたので、慰謝料免除は有難い話でした。
話し合いも終わりかと思った頃、「これはお詫びの印です」
分厚い熨斗袋をA旦那さんが渡してきました。
すぐに札束だって分かりました。後から数えたら結構な額でした。
A子さんが、「なんでそんなに渡すの?!」と、この話し合いの中で一番大きな声を上げたのには、思わず笑ってしまいました。
なんだか、今まで殊勝な態度だったのに、お金が出ていくのを見た途端にこれなんだ、という呆れた気持ちになったのです。
「今回は誠に申し訳ありませんでした。是非ともこの事は我々だけの内密な話としてください」
A旦那さんがA子さんの抗議を遮るように、頭を下げました。
A子さんの頭を片手で押さえつけて、一緒に下げさせていました。
この現金はお詫びというより口止め料みたいでした。
有難く受け取りましたが、もう小学校で噂が広がっているのに…と思いました。
まあ、これは私が広めた訳じゃないから「内密に」の約束は破っていません。
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浮気のその後

それからすぐに夫の転勤が決まって隣の県に引っ越しました。
2カ月後くらいに一回だけ、A子さんから電話が掛かってきました。
ちょうど夕食中、家族が揃っている時で、私が取ったんです。
A子さん、何もなかったかのように、「私さん久しぶり~、ちょっと(私)夫さんに聞きたい事があって…代わってくれない?」とか抜かしてくるんですよ。
もう怒りよりもこの厚顔無恥っぷりに笑いしか出てこなかったです。
夫に「A子さんから」と受話器を渡すと、一瞬戸惑ったみたいに私の顔を見て、それでも突きつけられた受話器を受け取ると「もしもし」と話しました。
正直、この時の夫の対応で今後を決めるつもりでした。
夫は、「もしもし」の後すぐに「もう電話してこないでほしい」と言って電話を切りました。
それからは、私の知る限りでは、A子さん関連の連絡はありません。
A子さんからの電話を拒絶した時、私は夫の事を許したと思ったんですけど、同時にあの瞬間から、夫に対して無関心になりました。
あれから10年以上経って表面上は仲の良い夫婦を演じていますけど、いつか破綻するような気がしています。
正直今でも、夜中にピンポンがなると、ぐわっと気持ちが昂ぶったり涙が出てきたりします。あの夜の、「パパは浮気したの?」という娘の声は忘れられません。
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