私と主人が結婚したのは25歳の時でした。
出会いは、お見合い結婚。
正直言って主人の人柄に惹かれたというより、主人を取り巻く環境に惹かれたのが本音です。
主人も、あまり私に関心が無かったのか、私は比較的自由にさせて頂いていました。
しかし、関心がないように思えても夫婦の営みはちゃんとあり。
その結果、私は26歳で第1子をさずかり、気づけば2歳差で3人の母になっていました。
(55歳 主婦)
(注)この記事は当サイトにお寄せいただいた体験談を一部編集してご紹介しています。
パート先の上司と不倫関係に
子供が出来て、主人は子供が可愛いようでした。
しかし、私に対しての感情は分からないまま。
ただただ、子育ての忙しさや、家事に追われていきました。
そして、家庭という閉鎖された環境に、私の寂しさは積もっていくばかりでした。
そんな期間が数年続き、私と主人の関係は冷め切っていました。
俗に言う仮面夫婦という形ですね。
子供たちも小学生になり、時間が出来るようになったため、私はパートに出ることにしたのです。
パート先の上司はとてもいい方で、私をとても褒めてくれて、正直主人とは全く逆のタイプの男性でした。
独身時代から、恥ずかしながら恋多き女だった私が、彼に恋をするのに時間はかかりませんでした。
彼もそんな私の気持ちに気付いてか、最初は仕事上の上司と部下。
そして、仕事終わりにお食事へ。
休みを合わせてデートをする。
お互いに「好き」とか「嫌い」とか、そんな言葉はありませんでしたが、自然とそういう関係になっていました。
いつも包んでくれるような抱擁感に、私は満たされていました。
愛人から家族へ・・?
子供たちとも仲がよく、まるで自分の子のように接してくれる。
私を甘やかしてくれる、大人な彼に私は惹かれて行くばかり。
そんな彼との関係を続けていると、私はふと気づきました。
私には、幼い頃からお父さんが居ませんでした。
そのため、父の愛というものを知りません。
私は、男性に父の愛を求めていたのかもしれません。
だから、子供と主人が仲良くしていたら、孤独感を感じていたのです。
私が欲しかったのは、旦那さんでは無くてお父さんなのだと。
思い返せば、それまで私が恋をしてきた人は、お父さんのイメージの男性だったのだと。
そのことが分かった途端、少し主人に対して罪悪感が出てきました。
主人が私に関心が無かったのではなく、「主人」という立場の主人に、私の関心が無かったのです。
お互い歩み寄ろうとしていなかった結果が、今の状態だと気づくと納得でした。
そんなある日、彼の方から「子供達を連れて、僕のところに来ないか?」と言って来たのです。
私が欲しかったもの
正直、主人に対する感情の意味を知った時点で、修復は難しいところまで来ていました。
どうせ遅かれ早かれならば・・・と考えました。
しかし、旦那さんではなく、私はお父さんが欲しいのです。
それなら、「彼に付いて行った所で、結果は同じことの繰り返しになってしまうのでは?」
それに・・・
「私はお父さんが居なくて寂しい想いをしたのに、今度は私が子供たちから、本当のお父さんを奪おうとしている・・・」
そう思った結果、答えはNOしかありませんでした。
彼は本当にいい方でした。何も言わず分かって下さったのです。
家に帰り、主人の顔を見たら「選択ミスしたかな?」と思いました。(笑)
それからしばらく、私は知恵熱なのか、熱を出して寝込んでしまいました。
その時に、キッチンなど立ったことのない主人がお粥を作ってくれたのです。
今でもハッキリと思い出せます、とてもまずかった。
でも、前を向くための気合を入れるには、十分な味付けでした。
そして、主人の優しさに触れるのも十分な出来事でした。
今年で結婚30年。
お互い歳をとって丸くなり、喧嘩をしながらも仲のいい夫婦を続けています。
今となれば、あの選択は間違って無かった。
そのように思えています。