私が浮気性の男性に引っかかったのは、大学生時代のことでした。
なれそめは、当時彼は1学年上の先輩で、サークルに勧誘されたことがきっかけで知り合い、私の入学から半年ほどで交際に発展するというありがちなケース。
私も彼も、初めての交際というわけでも、初めての性交渉というわけでもなくそれなりに節度を持ってお付き合いしていたと思います。
当時のデートと言えば、大学構内で一緒に食事をとることと、学校帰りにカラオケやショッピング、居酒屋に行く程度で、回数的には週に2,3度だったと思います。
付き合い始めてから3か月くらいが過ぎたころ、共通の友人(女性)が、彼の住まい近くの繁華街で、「彼らしき人物がほかの女性と腕を組んでいるところを目撃した」と打ち明けられました。
わきあがる疑問の数々
その話を聞いたとき、なぜだかそれまでの態度の変わりようについて、ふと納得した自分がいました。
今思えば女の勘というやつだったのかもしれません。
いずれにせよ、まだ一度の目撃情報で、かつ確実性の高い話でもなかったため、しばらく注意して様子を見ようと思いました。
私は、ふとした疑問を持ちました。
「どうして、恋人なのに週末の土日を一緒に過ごすことがないんだろう?」
それまでは、お互い実家暮らしで、大学を挟んで反対側に同じくらいの距離があったため「家が遠いから仕方ないか」と思っていました。
でも一度気になってしまうと、確かめずにはいられませんでした。
彼の目撃情報があったのも、土曜日だったからです。
そこで報告をくれた友人に協力を依頼し、次の土曜日もその繁華街付近に行ってもらうことにしたのです。
次々と寄せられる目撃情報
東京などと比べて、狭い田舎と都会が半々に混ざったような土地です。
その付近で遊ぶとしてもあまり場所がなく、目星をつけられる場所が限られていたことが幸いしたと思います。
彼はあっけなく見つけられました。
大型ショッピングモールでショッピングをしたのち、付近のラブホテルに入っていったそうです。
そして友人はそれを写真に撮り、私の携帯に送ってくれました。
彼とそれほどかわらない、背の高いほっそりとした女性でした。
正面から顔が写っていなかったため、はっきりとはわかりませんでしたが、芸能人で元AKB48の光宗薫さんのような雰囲気。
しかしその時友人は言いました。「この間見た子と雰囲気などが全然違う気がする」と。
写真が一つとれた時点で、私の中では浮気が確定していましたし、許すつもりもなかったので正直これ以上の追及はいらなかったのですが、当時から浮気関連の掲示板などをよく見ていた私は、少し楽しかったのかもしれません。
友人がもう一度確認したいというので、次の週もお願いすることになりました。
来る翌週、また彼は目撃されました。
また同じように、今度はゲームセンターでしばらく遊んでからラブホテルへと入ったのです。
友人の勘通り、2度目の写真の女性はまったく別人でした。
背が低く、少しぽっちゃりとした色白のかわいらしい方でした。
こちらは顔もはっきりと映っており、彼の高校時代の元彼女ということが分かりました。
このあたりで、私と友人は面白くなり、それからもほぼ毎週偵察を続けました。
徐々にほかの友人らにもこの話をし、最終的には5人ほどのチームで、約2か月ほど毎週末に張り込んでいたと思います。
浮気は毎回ラブホテルまでがセットで、大抵は土曜日でしたが、土日どちらも見つける日もありました。
どうにかしてぎゃふんと言わせたい
彼は、同じ女性とラブホテルに入ることはほぼありません。
毎回、容姿や背格好の違う女性を連れ立っていたのです。
合計で15人ほどの女性を写真に収め、そのうちの何人かは同じ大学の子もおり、また半数ぐらいが背の高い女性でした。
一方で、私は彼と交際を続けていたのですが、浮気を知ってからはセックスを拒むようになりました。
それが彼にとっては非常に腹立たしいことだったようで、少しずつ私の愚痴を大学内の友人らにばらまくようになりました。
彼の愚痴はだんだんエスカレート、あることないこと話をし、最終的には私が浮気性であり、サイマーであるという「ないこと」ばかりの噂話が出回るようになりました。
証拠もたまったし、もういい加減、彼とは別れよう、でもどうにかしてぎゃふんと言わせたい!私はそう思っていました。
すると最初に報告をくれた友人が、いい考えがあるから、自分に任せてほしいと言いました。
私は承諾し、来週になればわかるよという友人の言葉を信じました。
週明け、校内で一番情報量の多い掲示板に、一枚の新聞のようなチラシが張り出されました。
そこに掲載されていたのは、彼の2人分の浮気写真でした。
浮気写真と、その現場の解説、記者(笑)からみた浮気相手の評価などが書かれています。
浮気のことは知っていたはずなのに、浮気よりも驚いたことがありました。
なんとその記事によると、一番初めに写真に収めた子は女装をしていた男性だったのです。
その次は地元の高校自体の元カノ。その日の新聞はそれで終わり、そこから1週間かけて、全ての写真が掲載されました。
そして、彼の浮気相手のうち、背が高いと思っていた女性は全て、例の女装した男性で、その他の女性は毎回違う人だったこともわかりました。
友人が、彼の地元に知り合いがいて、色々と聞きまわってくれていたようです。
誰が書いたのかわからない彼は、毎日掲載される新聞に、初日こそ怒りはしたものの、次第におびえていたように見えました。
私が書いたものだと疑い、校内でつかみかかってきたところを同級生に助けられたこともありました。
一番衝撃的だったのは、新聞がすべて張り出されたのちに話し合いを行った際、彼が「自分は3度の食事よりセックスが好きで、男でも女でも構わないほど、没頭していた」と打ち明けたことでした。
しかも、高校三年生の時からずっと週に4回以上のセックスをしていたというのです。
女性はこれまでの元カノか出会い系であった人、男性はあまりセックスをさせてくれる人がいないので毎回同じ人で我慢していたそうです。
私はそれを聞いて以降、ショックや悲しみはすべて吹き飛び、ただただ目の前にいる男性が獣にしか見えなくなって生理的に受け付けなくなりました。
浮気をやめるから別れたくないとすがられましたが、もうあなたとは付き合えない、とはっきりと宣言し、ちょうど新学期の時期だったため通学経路や授業時間割を変更して彼との接触を避けました。
しばらくすると、彼は周りからの白い眼や好奇の視線に耐えれなくなったようで、大学から姿を消しました。
それからは平和に、大学との関係のないところで、ごくありふれた恋愛をしています。