完璧な主人の身体に口紅とファンデーション

私達夫婦は、周りの方達からよく「理想の夫婦だ」「仲が良くて羨ましい」「私達もあなた達のような夫婦関係を築きたい」などと言われておりました。
私より7つ年上の主人はとても優しく、会社を経営しており、年上・年下と年齢に関係なく色んな人から慕われるような素敵な男性でした。
また、女性経験も少なく純粋だったため、それまでは一度も女性関係で揉めることはありませんでした。
そんな素敵な男性に相応しい妻でいようと私なりに沢山の努力をして来ました。
年下ということもあって私が至らないせいで、困らせてしまわないようにマナー教室や料理教室に始まり、疲れて帰ってきた主人を癒せるようにとマッサージの勉強などもしました。
私を不安にさせるようなことも一切なく、毎日私を喜ばせてくれる、そんな主人を私は心から信頼していましたし愛していました。こんな幸せな生活がずっと続くと思っていました。
(注)この記事は当サイトにお寄せいただいた体験談を一部編集してご紹介しています。

主人の身体に残された口紅とファンデーション

結婚してから5年が経った冬のある日、日が暮れてから帰宅した彼が部屋着に着替えていた時のことでした。
ニットを脱いでインナーのTシャツ一枚になった彼の背中に何気なく目を向けたら、肩のあたりに口紅のような跡がありました。
そのときは私が付けてしまったのだと思い、申し訳なく思ったのを覚えています。
それから数日後、スーツで出勤していた主人が帰宅した時のことでした。「お帰りなさい」と脱いだ上着を受け取りハンガーにかけようとした時に、襟の隣あたりに次はファンデーションが擦れた跡を見つけました。
「これは私ではない」とすぐに分かってしまったのです。なぜかというと、抱き合った時にちょうど私の顔の位置に主人の襟元が来るのですが、以前何度もそうやってファンデーションを付けてしまった私は、反省して擦れても付かないファンデーションに変えていたからです。
違う女性とハグをしたのだ、そして襟元にファンデーションがつくほど密着したのだという事実は、私の頭を真っ白にしました。

不倫の証拠をおさえる

何かの間違いであって欲しい、何か理由があるはずだと願いながら、主人がお風呂に入っている間に初めて携帯電話を覗きました。
そして私は「今日も楽しかったよ。あぁ、一晩中一緒にいられたらいいのにな」「もうすぐで出会って10年になるんだから、今度何かお祝いしようよ」というメールの遣り取りを見つけてしまいました。
写真フォルダの中を見てみると、主人と彼女の写真が沢山出て来ました。
ディズニーシーで手を繋いだものや、海での写真、ベッドで笑う彼女、私が去年クリスマスにプレゼントしたコートを着て彼女と散歩している写真など、動かぬ証拠が次々と出て来ました。【参考】浮気現場の証拠を確実におさえる方法
私達が結婚してまだ5年しか経っていないし、出会ってからもまだ8年しか経っていないのです。

セフレだった彼女

もう、訳が分からなくなった私は、お風呂から上がってきた主人に携帯電話を投げつけ喚き散らしました。
あまりの私の異常さにびっくりしたのか、主人は簡単に白状してくれました。
「私と出会う前からセフレのような関係で、俺が結婚していることも話している。ただ何となくずるずると関係を続けてしまっていただけで、彼女に対して何の恋愛感情もないんだよ。この場で関係を絶つから」と。
主人は最終的に「今後、一生をかけて償うから、どうか許して欲しい」と涙を流しながら、土下座をしていました。
それから、主人はすぐに電話をかけ始め、もう二度と会うことはないと相手の女性に告げ、翌日には電話番号を変更していました。
私に対して、連絡がこれまで以上にこまめに来るようになり、帰宅時間が4時間ほど早くなりました。
仕事以外では、必ず私と一緒に出掛けるなど、彼なりに努力をしているようでした。
【参考】夫の浮気を許す!苦渋の決断がもたらす5つのメリット

信じられるものが、なくなった

私はというとあまりに突然のことだったので、すぐには理解が出来ませんでした。
朝、目が覚めると「あ、夢だったのかな」と期待するのですが、現実に起きたということを思い知って涙が流れるのです。
食事も喉を通らず、肌はかさかさになり体重はいつの間にか37キロに落ちていました。
 
私達の関係に、本当のことってあったのでしょうか。
主人の頼れる逞しいところや、誠実なところ、優しいところ、女性関係が少なくてとても恥ずかしがり屋なところ、緊張で震えながらプロポーズしてくれたところ、結婚式の日ウエディングドレス姿の私を見て涙を流してくれたところ、こんなに綺麗な思い出の中に一つでも彼の本心がそこにあったのか、分からなくなってしまいまいました。
100%彼を信じていた私は、何一つ信じられなくなってしまいました。

冷めていった幻想

主人の浮気が発覚してから1年が経ち、表面上は元通りになりました。
相変わらず、私に対しての努力はしてくれていますし、今まで以上に優しくなったようでした。家事も積極的に手伝ってくれ、欲しい物は何でも買ってくれ、行きたいところにも必ず連れて行ってくれるのです。
周りからは相変わらず「いつ見ても羨ましい」「本当にオシドリ夫婦だよね」などと言われていました。彼も、乗り越えられたと思っているようでした。
ですが私の心は、あの日からずっと冷え切っていました。私が好きになって、尊敬して、守りたいと思って、愛していた彼は最初からいなかったのですから。
私が勝手に完璧な男性を作りあげていただけなのですから。

浮気が発覚してから1年半が経った、主人の36歳の誕生日に、離婚届を渡し、実家に戻りました。
彼は泣きながら、どうにかならないかと懇願していましたが、「一度別れて、気持ちを切り替えたいの。
そうして、また新しい気持ちであなたと向き合いたいの」という私のでたらめを信じ、離婚してくれました。
離婚届を提出した翌日に私は携帯電話の番号を変更し、引っ越しました。私の心が揺れるようなことは全くありませんでした。